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2011年3月19日 (土)

東日本大震災・福島原発の状況と今後の対応 その1

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以前ご紹介した、 
栃木県那須町の非電化工房代表・藤村工学博士より、

福島原発事故について、正しい放射能の知識の、
貴重な情報を頂きましたので掲載いたします。

原文はこちらで→ 「20110319.doc」をダウンロード


以下、藤村博士の文を転記 (その1)

3月15日 by 藤村靖之(非電化工房代表、日本大学客員教授)
福島原発の事故の状況は時々刻々変化していますが、
現時点(3月16日午前)で言えることは


1・原爆のような核爆発は絶対に起こりません。
    
ウランを90%以上に濃縮しなければ核爆発は起こせません。
原発は3%という低い濃縮度ですから、核爆発が起こることは絶対にありません。


2・最悪の事態はチェルノブイリ事故と同様に、核分裂が起こっている時に
(つまり原発が稼動している時に)原子炉容器が破裂して、
放射性物質が大量に広範囲に撒き散らされる事故です。
これ以上の事故は起こりません。このような原発事故はレベル7と言います。


3・1979年の米国スリーマイル島の原発事故では、燃料棒の冷却が行われず、
高温になって燃料棒の周りの莢(ジルコニウムという金属)が溶け、
燃料棒が露出した状態になりました。この状態を炉心溶融(メルトダウン)と言います。
スリーマイル島の場合は、冷却が再開されて、原子炉容器の破裂には至りませんでしたから、極微量の放射性物質が狭い範囲に飛散されたに留まりました。後遺症もありません。
レベル5とされました。


4・福島第1原発では、地震発生と同時に緊急停止装置は働き、制御棒を挿入したので、
核分裂は停止しましたが、冷却装置が機能せず、1,2,3号機共にメルトダウンしました。
1,3号機はメルトダウンに伴って発生した水素ガス爆発により、建物は破壊されましたが、原子炉の格納容器は破壊に至っていません。格納容器の内部圧力が高まり、
それによる格納容器の破裂を避けるために安全弁を開けて煙突からガスを逃がしたので、
圧力は下がりましたが、煙突内のフィルターを潜り抜けた放射性物質は少量飛散されました。冷却のために海水注入し、温度上昇は防げているようですが、
放射能汚染された海水が放出されています。今の段階では、レベル6に留まっています。
安全弁が開いているので、レベル7になる可能性は考えにくいのですが、
僅かに残っています。
 2号機は、同じくメルトダウンし、破損の状況は不明です。
破損しているからには格納容器の圧力上昇の可能性は低いのですが、
破損のために海水注水による冷却が上手く行かず、燃料棒の温度上昇を防げず、
燃料棒は再び核分裂が始まり(再臨界と言う)
、同時に格納容器の内部の原子炉の圧力が高くなって破裂する・・・
つまりレベル7に進む可能性が若干有ります。
更に、格納容器下部の圧力抑制室(サプレッションンプール)が(多分水素爆発により)
破損し、放射性物質が流出しました。
破損の程度・流出の程度・海水注入の具合については一切発表されていませんので、
これ以上の推定はできません。
 点検中だった4号機も、使用済核燃料棒の冷却が止まり、使用済核燃料棒の莢が溶け、
それに伴って水素が発生して建物に火災が生じました。
使用済核燃料棒は冷やしやすい状況ですから、
現在講じられている水を注ぐなどの方法で対処できる可能性が極めて高いと思われます。
同じく定期点検中で運転休止していた5号機・6号機についても、4号機と同じく、
使用済核燃料棒の過熱事故が懸念されますが、4号機の事故で気が付いて、
対応を取り始めたと思われます。何れにしても、
使用済核燃料棒が爆発することは考えられません。
但し、使用済核燃料といえども燃料のウラン235の数%しか燃やしておらず、
残りの90数%は残っています。その上、核分裂に伴ってヨウ素131、セシウム137、
コバルト60、プルトニウム239などが生成されて、使用済核燃料の中に含まれています。
したがって、建物火災や崩壊に伴って、大量の放射性物質が流失する懸念があります。

以上を総合すると、福島第1原発では、既にレベル6に在り、
レベル7に進む可能性が残ると結論できます。
つまり、チェルノブイリのような最悪の事態に至る可能性が残っているということです。


5・したがって、
最悪の事態をも考えて心の準備をしつつ、現在の事態に対処するという2段構えが必要です。


6・最悪の場合はチェルノブイリと同じことが起こります。
大量の放射性物質(短期的に放射能が強いのはヨウ素131とセシウム137)が空気中と
海水中に放出されます。短期的に影響が大きいのは空気中に飛散される放射性物質だけです。これは微小な粒子になって風に乗って運ばれ、土や屋根や草木の上に積もり、
時折舞い上がります。運ばれる放射性微粒子の数は、原発からの放出量、
原発からの放出のされ方(爆発的かそうでないか)、原発からの距離、
風向きによって決まります。


7・最悪の場合を想定すると、過渡的な対処(事態が推移している今すぐ)、
短期的な対処(事故が収まり、実態が明らかになった時点。多分1週間後くらい)、
長期的な対処の3つに分けて考える必要があります。


8・過渡的にはレベル7(チェルノブイリ級)が起こることを想定して対処します。
政府の初期の指示は甘すぎると思いましたが、
パニックを防止するために順次エスカレートする方策だったと推定されます。
現在の指示は、チェルノブイリの経験から考えると、ほぼ適切と思います。
長期的には、風向きとの見計らいですが、現時点では、チェルノブイリ事故の時と同じく、
半径30キロ以内は一旦避難して、推移を見守るべきだと思います。


9・郡山市、福島市は、原発から約60キロ西方、つまり風上側60キロに位置しています。
最悪のレベル7の場合でも直ぐに短時間に健康被害が生じることは有りません。
因みに、チェルノブイリでは、風上50キロは永久に居住できる区域に入っています。
一刻も速く退避するという必要はありません。但し、
微量でも放射性粒子が降り続けるという可能性がありますから、
その期間は、放射性微粒子を体内や室内に蓄積させないようにした方がよいことは間違いありません。あまり神経質になるほどのことではありませんが、室外に出っ放し、
雨に濡れ続けのようなことは避ける方がよさそうです。
短時間雨に濡れても、1時間やそこら外に出っぱなしでも問題ありません。
長時間室外に出っ放しが毎日続くような場合には、服についた微粒子を払ってから室内に入るなどして、放射性微粒子を室内に持ち込んで蓄積しないようにした方がよさそうです。


10・那須町は原発から南西に100キロ、つまり風上に100キロに位置しています。
少なくとも短期的には、まったく安全です。
原発事故直後ですから、原発火災の煙によって生じる上昇気流に乗って上空数キロメートルまで微粒子が運ばれ、上空の風に乗って遠方に運ばれることは勿論有りますから、
東京でも横浜でも過渡的には微量の放射線量が検出されるでしょうが、問題ありません。
但し、「那須町も安全ではない」という状況にいたる可能性は全くゼロではないかもしれませんが、仮にそういう状況いたるとしても、それはうんと先のことですから、
それから考えても遅くありません。
   
「栃木県でも1時間当たり0.36マイクロシーベルトが観測された」と昨日発表されました。
10時間この空気を浴び続けたとしても、3.6マイクロシーベルト。
1回の胃のバリウム検査で吸収される放射線量の数百分の1、1回のCT検査で人体に吸収される放射線量の2千分の1です。まったく問題外です。
煙草を1日1本づつ吸う方がよっぽど危険です。


11・那須町は「原発から大変近い安全地帯」ですから、
退避先としては絶好の条件と考えられます。那須町在住の方は退避場所の提供を考えていただくといいのではないでしょうか。
因みに、非電化工房は避難する方を10名までは積極的に受け入れることにしています。
すでに避難された方が居住しています。
那須町も那須町スポーツセンターを退避場所として提供することに決め、
既に数十名の方が退避してきました。


12・宇都宮市は原発から西南に約150キロです。つまり風上150キロに位置しています。
少なくとも短期的には全く安全です。退避を考えるような場所ではありません。


13・長期的なことは、前述の通り、原発からの放出量、原発からの放出のされ方
(爆発的かそうでないか)、原発からの距離、風向きによって決まります。
再びチェルノブイリの経験を述べると、風上50キロは永住できる場所ですが、風下でも、
所によっては500キロ先でも永住できない場所になりました。
こういうことは、事態が収まり、原発からの放出量、
原発からの放出のされ方などが明らかになった後で、
ゆっくり、科学的に決めればよいことであって、今考えることではありません。


14・原発ではウラン235を核分裂させます。核分裂するとプルトニウム239やヨウ素131や
セシウム137やコバルト60などの放射性物質ができてしまいます。
事故ではこれらの微粒子がウラン235の微粒子と共に放出されます。
これらの内で、ヨウ素131のみは半減期(放射線の放出に伴って重さが半分になるまでの期間)が8.0日と、非常に短いものです。

因みに、セシウム137は30年、コバルト60は5.3年、プルトニウム239は2400年、
ウラン235は7億年です。半減期が短いということは短期間に放射能が弱くなることを意味しますが、その分、放射線量は強くなります。
 だから、短期的にはヨウ素131がもっとも危険です。
ヨウ素131は甲状腺に異常をきたすことがあります。


15・ヨウ素131が体内に入った場合、安定ヨウ素剤が健康への影響を低減することは事実です。このために、「ヨウ素を含んだものを食べたり飲んだりすれば放射線被爆の影響を避けられる」という噂が飛び交っていますが嘘です
ヨードチンキ、イソジンガーグル、消毒用石鹸、ルゴール、
のどスプレーなどにはヨウ素が含まれていることは確かですが、
「安定ヨウ素剤」の替わりに飲むのは害が有って益は無いのでやめてください。


16・若布などの海草にもヨウ素が含まれますが、気休め程度の効果しか有りません。
但しイソジンガーグルを飲むのとは違って害はありませんし、
栄養豊富ですから別の意味の益があります。しかし栃木県や東京都の人が競ってトロロコンブを買い漁るのはナンセンスです。


17・「安定ヨウ素」といえどもヨウ素131以外の放射性物質には効果はありません。

18・セシウム137、コバルト60、プルトニウム239、ウラン235の影響を低減する薬剤は見つかっていません。
酵素やEM菌が体内に取り込まれた放射性物質の影響を低くすることはありません。
魔法のクスリは無いと思ってください。


19・魔法のクスリに頼るのではなく、事態を冷静に見極めて、過渡的・短期的・
   長期的に適切な対応をしてください。


20・根拠の無い情報が飛び交って、各地でパニックが生じています。
根拠の無い情報は流さないことと、根拠の無い情報に惑わされないようにして、
みんなで冷静・沈着・科学的に行動しましょう。


今日の一言!
(その2)へと続きます。

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コメント

情報ありがとうございます。
『煙草を1日1本づつ吸う方がよっぽど危険です。』というのは分かりやすいですね。

投稿: N-3号 | 2011年3月19日 (土) 18時16分

N-3号さま
ホウレンソウのニュースが出ましたね。
野菜は全て、、、
そして次は水道水ですよ!

投稿: ふぃふぁ | 2011年3月19日 (土) 23時08分

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