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2011年3月19日 (土)

東日本大震災・福島原発の状況と今後の対応 その2

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以前ご紹介した、 
栃木県那須町の非電化工房代表・藤村工学博士より、
福島原発事故について、正しい放射能の知識の、
貴重な情報を頂きましたので掲載いたします。 

原文はこちらで→ 「20110319.doc」をダウンロード


以下、藤村博士の文を転記 (その2) (その1)は→(こちらで)

3月17日 by 藤村靖之(非電化工房代表、日本大学客員教授)

プルトニウムに脅えすぎないでください
福島原発3号機は昨年9月からプルサーマル運転を開始しています。
一般の原発では、ウラン235のみを燃料とします。
ウラン235を燃焼(核分裂のこと)させると、プルトニウム239やヨウ素131やセシウム137、
コバルト60などの放射性物質が生成され、使用済核燃料に残ります。
ウラン235も数%が消費されるだけで、90数%は使用済核燃料に残ります。
使用済核燃料の内からウラン235とプルトニウム239を回収し
(この作業は青森県の六ヶ所村にある核燃料再処理工場で行われます)、
天然ウラン~精製したウラン235と混ぜて作った核燃料をMOX燃料と言います。

MOX燃料において、全体に占めるプルトニウムの割合をプルトニウム含有率と呼びます。
福島原発3号機のプルトニウム含有率が何%なのか不明ですが、常識的には10%程度です。
つまり、10%がプルトニウム239、90%がウラン235ということになります。
このMOX燃料を使って原発を運転するやり方をプルサーマル運転と呼びます。
福島原発3号機は、九州電力玄海原発(佐賀県)、四国電力伊方原発(愛媛県)に続いて
国内で3番目のプルサーマル運転をしている原発です。
 プルトニウム239はウラン235に較べて二つの特徴があります。
一つ目は核分裂を起こしやすいということです。このことは、
原発においては核分裂が収まっていた原子炉が事故により再び核分裂を開始
(再臨界と言います)する可能性が高くなることを意味します。
この点に関しては、現時点の3号機はメルトダウン(炉心溶融)はしましたが、
安全弁の開放により圧力は下がり、海水注入により温度も抑えられているようですので、
懸念は極めて小さいと判断されます。
 プルトニウム239とウラン235の二つ目の違いは、放射能が強いということです。
放射能の強さは、半減期に逆比例します。

ここで分かるように、確かにプルトニウム239はウランの30万倍の放射能を有しますから、
大変に危険な放射性物質です。
ヨウ素131はそのプルトニウム239の10万倍(ウラン235の320億倍)の放射能を有する、
極めて危険な放射性物質です。
 原発事故が起きると、これらの放射性物質が飛散されます。人体への影響を考えると、
短期的にはヨウ素131とセシウム137の影響を考えるべきでしょう。
コバルト60は放射能は強いのですが、量が少ないので影響は少ないと考えられます。
 ヨウ素131は原発事故が起きた後は強力ですが、40日後には3万分の1に、
80日後には10億分の1になります。だから長期的には問題にならなくなります。
長期的には、【放出量×放射能の強さ】で影響力が決定されます。
一般の原発ではウラン235とプルトニウム239(一般の原発でもプルトニウムは生成されて飛散されます)、プルサーマル運転の原発では圧倒的にプルトニウムの影響が大きくなります。
 
 「福島原発3号機はプルサーマル運転だから」
「プルトニウムは直ぐに人が死ぬくらいに猛毒だから」というような噂が伝わり、
北海道の住民までが即刻避難を考えている・・・という事態も一部で生じていますが、
少し冷静に考えていただきたいと思います。
短期的には、3号機がプルトニウムであろうがなかろうが同じことです。
プルサーマルであることの影響はもっと後の話です。原発事故が収拾され、
放射物質の放出状況(どういう放出のされ方で、どれくらい放出されたか)と、
距離、風向き等の正確なデータに基づいて、きちんと分析してから、適切に行動すべきです。慌てる必要はありません。
 

【放射線量の解説】  3月16日   
          by 藤村靖之(非電化工房代表、日本大学客員教授)


放射線による被爆量(吸収線量とも言う)の表し方にはいろいろ有りますが、
TVで使われているシーベルトまたはマイクロシーベルトまたはミリシーベルトに限って
解説します。

シーベルトというのは「人体が吸収する放射線の影響量」と考えてください。

例えば、胃のバリウム検査では、1回で0.6~2.7ミリシーベルト、
CT検査では1回で6.9ミリシーベルト(=6900マイクロシーベルト)の放射線を
人体が吸収します。

次に放射線の強さを表すのにマイクロシーベルト/時
(マイクロシーベルト毎時と読む。1時間当たり〇〇シーベルトと言うこともある)、
あるいはミリシーベルト/時という単位が使われます。
マイクロシーベルトまたはミリシーベルトという量の単位と混同しないでください。

1マイクロシーベルト/時というのは、1時間に1マイクロシーベルトの量の放射線が
人体に吸収されるという意味です。1日は24時間ですから、
この放射線を1日浴び続けると24マイクロシーベルトの量の放射線を浴びることになります。1年間は8760時間ですから、この放射線を1年間浴び続けると、
8760マイクロシーベルト(=8.7ミリシーベルト)の量の放射線を浴びる計算になります。

放射線被害は、放射線を吸収する量に比例します。
どれくらいの量を吸収すると危険かと言うと日本は、年間に1ミリシーベルトと決められています。但し、この中には自然界からの吸収量2.4ミリシーベルトは含まれていません。
因みに国際放射線防護委員会の基準は、年間に1.875ミリシーベルトです。 
前述のように、CT検査1回で6.9ミリシーベルトの放射線を吸収することを考えると、
年間1.0ミリシーベルトという基準は極めて厳しい(つまり安全側の)値です。

ここで注意していただきたいことは、
     
0.36マイクロシーベルト/時=3.2ミリシーベルト/年(年間3.2ミリシーベルト)
というように短絡的には考えないで頂きたいということです。
計算上は確かにその通りですが、今は原発から放射性物質が噴出し、
風に乗って運ばれ、空から降ってきて、空中に漂っている最中です。
こういう状態はやがて落ち着きます。
更には、0.36という値は室外での測定値です。
24時間365日室外で空気を吸い続けることは考えられません。大雑把に言うと、
今の時点で室外の測定値が1マイクロシーベルト/時は全く問題無いレベルです。
1日1時間くらい外気に曝されたとして、1ヶ月で30マイクロシーベルト。
胃のバリウム検査1回の放射線吸収量1.7ミリシーベルトのたった1.8%です。
1ヶ月経って、原発事故が収まって、放射性粒子の飛散がほどほど収まってから、
実際の放射線の強さに基づいてゆっくり考えればいいだけのことです。
1マイクロシーベルト/時は、退避を考えるようなレベルではありません。
 では、今の時点で10マイクロシーベルト/時だったらどうでしょう。
1日1時間くらい外気に曝されたとして、1ヶ月で300マイクロシーベルト。
胃のバリウム検査1回の放射線吸収量1.7ミリシーベルトの18%です。
やはり、慌てて退避するほどのことではありません。
やはり、1ヶ月経って、原発事故が収まって、放射性粒子の飛散がほどほど収まってから、
実際の放射線の強さに基づいてゆっくり行動を考えればいいことです。
但し、地面に堆積された放射性物質からの放射線を浴びるのとは違って、
今現在は空から放射性物質の微粒子が降ってきて空気中に漂っている状態ですから、
不必要に蓄積させない注意はした方がいいレベルではあります。
室外に毎日長時間いつづけたり、窓を開け放しにし過ぎたり、
洗濯物や布団を外に干し放しにし過ぎたりすると、放射性微粒子が体内や室内に蓄積し、
健康に影響が出る懸念が僅かに有ります。
こういうことに注意しながら1ヶ月を過ごした方がよさそうです。
 
 今の時点で20マイクロシーベルト/時だったらどうでしょう。
政府が第1原発の周囲20~30キロに対して指示している通りに、
室内にいるようにして、窓を閉め、換気をせず、洗濯物は室内で乾かす。
1日1時間くらい室外に出ても1ヶ月で0.6ミリシーベルト。問題無い範囲ですが、
外出後には服や頭に付着した微粒子を払ってから室内に入るようにしないと、
微粒子が室内に蓄積します。こういうことが困難でしたら、一旦退避して、
状況が安定してから(多分1ヶ月後くらい)判断するということでも、いいかもしれません。何れにしても一刻を争うというレベルではありません。
 今の時点で50マイクロシーベルト/時を常時超えるようでしたら、
政府の指示する地域から外れていても、退避を積極的に考えた方がよさそうです。

 言わずもがなの話ですが、原発からの距離が離れるほど、
放射線量は減るのは当然のことです。放射性物質は細かい微粒子の形で
風に乗って運ばれてきますから、原発から離れるほど拡散して濃度は低くなって行きます。
大雑把に言うと距離が2倍になれば濃度は平均的には2分の1~4分の1になります。
時折は、距離が2倍になっても濃度が同じ・・という場合もありますが、あくまで時折です。
 原発の3号機の付近で400ミリシーベルト/時の値が検出され、
テレビで「この濃度だと数分で被爆症状が生じる・・・」というような報道を聴いて、
大変だと言って即刻退避した福島市の方がいたそうですが、
原発から福島市までは60キロ離れています。
この時点で福島市の測定値は推定ですが20マイクロシーベルト/時を超えているとは考えられません。


つまり、原発3号機の付近の値の2万分の1の値です。
福島市の方は、福島市における信頼できる測定値に基づいて判断してください。
信頼できる測定値が発表されていない場合は、風評に惑わされず、
信頼できる人の判断を聞いてください。

今日の一言!
藤村先生ありがとうございました!


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コメント

ここ1年の検査被ばく量
CT3回、MRI1回、骨シンチ1回、PET1回 合計59mSv
5年間の平均が20mSv/年を越えなければいいそうですが・・
来月もPETあります。

投稿: N-3号 | 2011年3月20日 (日) 07時29分

N-3号さま
気にしない、気にしない、、、

投稿: ふぃふぁ | 2011年3月20日 (日) 20時17分

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